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中国語の発音の学び方

■あなたの発音はきれいですが、どうやって学んだのですか?
知人の上海からの留学生が、私の発音は北京のアナウンサーのようにきれいだと言ってくれました。そして「どうやって発音を学んだのですか?」とたずねました。
お世辞を言ってるのではないかと疑いましたが、本当にあなたの発音はきれいだと言うのです。そして、どのように発音を学び、練習したのか、ぜひ教えてほしいと言います。
彼女は何人かの日本人学生に中国語を教えていますが、みんな発音で苦労しているので、あなたの発音習得法を彼らに話して聞かせたいから、お願いしますと言うのです。

私は特別な練習法をした覚えはありません。皆がやっているだろうと思う方法で、ピンインのひとつひとつの発音を覚えてきただけです。特に苦労したこともありませんでした。しかし、彼女の学生たちは発音で苦労しているらしい。
私の学習体験が彼らの役に立つのならと思い、次のようなことを彼女に話しました。

■まず覚悟しよう「中国語を音で学ぶ」
中国語は、まず「音」をしっかり学ぶ必要があります(どんな外国語もみなそうですが)。私たち日本人は、漢字に慣れているために、中国語を「漢字の言葉」と思い、取り組みやすい外国語だと思いがちです。漢字を見るとなんとなく意味がわかるような気がしますから、読めているような気になる。でも、音を意識しない読み方では中国語を読んでいるとはいえません。

アメリカに留学した友人に聞いた話ですが、アメリカでは中国語の入門クラスのテキストには漢字がいっさいなく、すべてピンインで記されているそうです。入門編を終える頃から、じょじょに漢字を覚え始める。アメリカ人にとって漢字は難しいため、アルファベットで表記されたピンインから始めるほうが容易だからでしょうが、彼らは中国語を学び始めたときに、「中国語は音」であるとしっかり認識するわけです。

日本人は漢字に慣れていますから、ピンインだけのテキストで始める必要はないと思いますが、「漢字にはすべて中国語の音がある」ということを改めて心に刻み、中国語を音で学ぶ覚悟をしなければなりません。

私は台湾駐在を告げられたとき、発音だけはしっかりマスターしてから台湾へ行こうと思いました。外国語は、音をしっかり覚え、発音できるようにならないことには、何も始まらないと考えていたからです。
台湾行きが決まったのが9月で、台湾への出発予定は11月でした。
そこで、私はNHKの中国語講座を10月の1ヶ月間だけ聞くことにしました。当時のNHK中国語講座は、4月と10月は、1ヶ月間しっかりと発音を学ぶことになっていました。現在では、簡単な文を覚えながらピンインと発音を2~3ヶ月かけて学ぶ構成になっているようですが、当時は、とにかく1ヶ月間はピンインと発音だけをみっちりやるという構成でした。
10月号のテキストを買ってきて、毎朝、ラジオ講座を聞きました。同時にテープに録音もしました。
母音と四声から始まって、有気音、無気音、重母音、そり舌音などを、順次学びました。
このときの講師の先生の発音方法の説明は、懇切丁寧でわかりやすく、私は今でも、あのタイミングであの先生の講座を聞けたことに感謝しています。

①まず、ピンインを覚える
■ピンインをにらみつけながら、テープを何度も聞く。
各母音の音の違い、有気音と無気音の違い、そり舌音の有気音と無気音の違いなど、耳をこらして何度も聞いて、音の違いを覚えます。
聞きながら、発音法の説明を思い出し、口の形をつくり、舌の位置を決めます。実際に発音しなくてもよいのですが、聞きながら口を動かすのです。
何度も聞いていると、日本語にない音に耳が慣れてきます。有気音と無気音の違い、そり舌音とそうでない音の違いを聞き分けられるようになります。
いや、聞き分けられるようになるまで聞き続けなければなりません。

私は、10月の1ヶ月間は、通勤電車の中でも、テープを聞きながら口を動かす練習をしていました。さすがに恥ずかしいので実際には発音しませんでしたが。でも、これがかえってよかったようです。音と口の形が、自然に結びつくようになったからです。

②ピンインを見ながら、何度も発音する
■口の形と舌の位置を意識して練習する。
聞き覚えたと思ったら、今度は自分の口で発音してみます。
発音法の説明を思い出しながら、口の形、舌の位置を意識しながら、ゆっくりと発音します。まず口の形をつくり、舌の位置を決め、おもむろに発音する。これを何度もくり返すのです。
自分でもぎごちないな、と思いますが、とにかく、あせらず、しっかり口と舌を構えてから発音する。

自分の発音が正しいのか間違っているのか、始めのうちは自分では判断できません。でもテープを何度も聞きなおしながら、発音を繰り返すうちに、耳が鋭くなってきます。そして、微妙な音の違いがわかるようになってきます。テープの発音と自分の発音の違いに気付くようになります。
違いに気付くようになったらしめたものです。あなたの発音は、北京のアナウンサーにぐんと近づいたのです。
口の形、舌の位置、息の出し方などをいろいろ試して、テープと同じ音になるまで練習します。

この練習の時の注意事項がひとつあります。それは、ピンインにカタカナでふり仮名を絶対につけないこと。ふり仮名をつけたら、あなたの発音は日本語の発音になってしまいます。ふり仮名をつけないと読めないようでしたら、ピンインをにらみながらテープを聞きなおしてください。

③入門レベルのテキストを大きな声で読む
■テープをよく聞く。
■口の形と舌の位置を意識しながら読む。
ピンインのついた入門レベルのテキストを用意します。テープ付きを選んでください。発音をカタカナ表記したテキストはダメです。
まず、テキストのピンインを見ながらテープを何度も聞きます。
テープを止めて、ピンインだけを見ながら自分で発音します。口と舌に注意しながら発音します。口と舌をしっかり構えて、発音します。よっこらしょっと、という感じで発音しますから、当然テープのように速くは読めません。それでいいのです。

始めは速く読もうとは思わず、とにかく口と舌を正しく構えて発音することに意識を集中します。
赤ん坊のよちよち歩きのような読み方を、繰り返します。速く読もうとして、口と舌をいい加減にしてはいけません。
トレーニングを繰り返すうちに、よちよち歩きが、のろのろ歩きになり、やがて、駆け足になったな、と思った頃には、テープと同じ速さで読めるようになっています。

④テープといっしょに発音する
■シャドゥイング練習(テープと同時に発音する)
テキストのピンインを見ながら、テープと一緒に発音します。同じスピードでテープについてゆきます。発音しながら、耳をよくすませて、テープの発音と自分の発音を聞き比べてください。難しそうだと思いますか? ①~③の練習を十分にやっていれば、そんなに難しくはありません。発音しながら聞き比べることができます。
そして、違いがあれば、口の形、舌の位置、息の出し方を調整して、テープの発音と同じになるまで練習します。 

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私の発音練習は、以上のとおりでした。
別に特別なことをやったわけではありませんが、ポイントは、
(1)耳を鋭くして、音の違いを聞き取れるようにすること(違いを聞き取れるようになるまで聞き続けること)。
(2)口と舌の使い方を意識的に行うこと。無意識で口と舌が正しく動くようになるまで練習すること。
以上の二つです。
発音に自信がない方は、練習が足りないだけだと思います。自分の耳に自信がないと言う方は、聞き方が足りないだけです。
音を聞き分けられるようになるまで聞くこと、正しく発音できるようになるまで意識的に練習すること。
特別な秘法はありません。グズでノロマに見える方法こそ、実は、一番の近道だと思います。

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