Posts categorized "13)達人たちに学ぶ学習法"

桐朋音楽大学に学ぶ? 中国語基礎力の養成法

何人かの方からメールをいただきました。
「テキスト一冊を学ぶのに、どうしてそんなに時間をかけるんですか?一冊に時間をかけるより、どんどん、たくさんの本を読んだほうがいいんじゃないんですか?」
「膨大な時間をかけて暗誦にこだわる必要があるんですか?」

車の運転ができる方はご存知だと思いますが、車は発進するときにギヤをローに入れます。ローギヤはエンジンの一番強い馬力を車輪に伝えます。逆に言えば、止まっている状態の車を動かすには、大きな力が必要なのです。いったん動き始めたら、それほど強い力はいらなくなるので、セカンド、サードとシフトアップしますね。

中国語の学習もこれと同じで、基礎を固める段階では、多くの努力を必要とします。何しろ、発音、単語、文の構造、文法など、今まで知らなかったことを覚え、中国語を聞いたり、読んだり、話したり、書いたりできるようにならなければならない。
理解力、記憶力を総動員し、耳、口、舌のトレーニングもしなければなりません。
この段階をいい加減にすますと、中国語はいつまでも上達しません。
ですから、基礎段階では、よくできているテキストを選び、そのテキストを骨までしゃぶりつくすつもりで、「精密に学ぶ」ことが必要なのです。
いちおう読めた、という程度で次々に新しいテキストに進むのは、基礎の段階では望ましいことではありません。
一冊のテキストで、わからないところがないというまでやり続けること、そのテキストの文章なら、聴いてすぐわかり、すらすらと暗誦できるまで音読や筆写を続けること、こうすることで、中国語の基礎が頭脳に刻み込まれ、口や舌が中国語用の動きを覚えるのです。

基礎を固めた段階(初級~中級段階のテキスト何冊かについて暗誦、筆写ができるようになった段階)を過ぎたら、今度は、たくさん聴き、さまざまな本を読むトレーニングに入ります。このときには、できるだけたくさんのテープを聴き、できるだけたくさんの雑誌や、新聞や、本を読みます。新しい単語を次々と覚え、新しい表現法も次々に覚える。この段階では、基礎の段階よりも、理解すること、覚えることが、はるかに楽になります。セカンドやサードのギアで高速の出る車のようなものです。

本を一冊紹介します。
「上達の法則 効率のよい努力を科学する」 岡本浩一著 PHP新書
この本は、語学学習法の本ではありません。仕事、技術、資格、習い事(語学を含む)、稽古事などの上達について書かれたものです。上達を極めた人と、そうではない人との違いや、上達の方法論が紹介されています。私たちの中国語学習のヒントになる一節を下に引用します。
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精密に学ぶ:ひとつのものを深める
日本のクラシック音楽家をたくさん育てた方法として名高いものに桐朋音楽大学の故齋藤秀雄教授による「齋藤メソッド」というものがある。ひとつのオーケストラ曲を選ぶと、おびただしいエネルギーを注入して、その一曲だけを長い時間をかけて仕上げていく方法である。ときには、半日かけて、数小節しか進まないということがあったそうである。ところが、このくらい精密に一曲を仕上げていくと、ある時点から、曲というもの、演奏という行為について、目が開けるようになるということである。そのほうが、浅く何曲も学ぶよりも、音楽の目を開かせることになったと多くの人が述懐している。小沢征爾もこの齋藤メソッドで学んだひとりである。

対象を変えて精密練習を繰り返す
溺れるようにして、精密練習に耽溺していると、また、かなりの時間を経てから、「もう、これはだいたい」わかったと思えるときが自然に来る。そういう時間が本当に自然に訪れたら、また別のものを対象にしてしばらく打ち込んでみる。これを螺旋階段を昇るように繰り返すのが上達の要諦のひとつである。 (「上達の法則」147ページより)
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やっぱり暗誦〈暗記)が最強の学習法だった/中国人の外国語上達の秘訣

私の知人である中国人留学生は日本語がとても上手です。彼女は日本にきてから初めて日本語学校で日本語を学び、わずか1年で、外国人対象の日本語検定試験に合格し、日本の大学に入学しました。
私が彼女と知り合ったとき、彼女は大学4年生でしたが、知らない人が聞いたら日本人だと思うほどに彼女の日本語は流暢で正確でした。
私が台湾で仕事をしていたとき、私の通訳を勤めてくれた女性は、日本留学3年で台湾に帰国した人でしたが、彼女の日本語も正確で美しい日本語でした。
どうして、彼女たちは短期間に外国語である日本語に上達したのか。私は不思議でした。たとえば、私は英語を中学、高校、大学あわせて8年もやったのに、まったく英語をしゃべれなかった。それなのに、彼女たちは、信じられないほどの短期間に日本語をマスターしているのです。
私が長い間知りたかった秘密が、ある日のネットサーフィンで見つかりました。
私たち日本人が軽視している、「暗誦」がその秘密でした。
ここにご紹介するのは、韓国で日本語を教えているかたが、中国人の外国語上達の早さに驚いて、中国人に聞いた外国語の学習法です。それは、ホームページ「日本語屋さん@かんこく」の中の「外国語学習法」のページにありました。
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今いる先生は、韓国に来て4年ほどだとのことだが、どんな話でも韓国語でできる。日常的な話題から、社会問題、歴史などにわたって、どんな内容の話でも韓国語で楽しめるのだ。
今日また、中国のハルビンから来た留学生に会った。その留学生は、ヨンセ大学の大学院で韓国語学を専攻している。韓国に来てから2年、その前に中国の大学で韓国語を専攻したという。韓国語学習歴は通算6年になるわけだ。その人も、まるで韓国人のように自然な韓国語でいろいろな話題を楽しんでいた。
そのとき、以前から疑問だった、中国人の外国語上達の秘訣について知りたくなり、質問した。
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詳しくは、こちらをお読みください。
中国人の外国語学習法

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中国語学習はスポーツに似ているかもしれない

オリンピックで日本選手が大活躍しています。おかげで寝不足の毎日が続いて、中国語のトレーニングもサボりがちです。
でも、テレビや新聞のオリンピック報道を見ていて、気づきました。
中国語の学習もスポーツのトレーニングに似ているな、ということです。

私はヘタなくせにテニスが好きで、もう三十年近くも週末テニスを楽しんできました。ゲームで勝つことはあまりなく、いつも負けてばかりいます。
この長い歳月の間、あまりにも自分がヘタなのに腹を立てて、テニススクールに通ったり、個人レッスンを受けたりもしました。コーチたちの教え方はみな同じです。フォアハンドの打ち方、バックハンドの打ち方、ボレーの仕方、サーブの仕方をやって見せ、そのコツを説明してくれます。そして、私たち生徒に実際に打つ練習をさせます。何度も何度も。
一定期間コーチを受けた私は、今度こそ勝てるかもしれないと思って試合に臨みますが、また負ける。相手の駆け引きに負けるのでも、相手の作戦に負けるのでもありません。レシーブに失敗したり、バックハンドに失敗したり、ボレーに失敗したり、ここはチャンスだというときに、自分の単純なミスで自滅することが多いのです。

つまり、基本が身についていないんですね。練習のときのコーチの説明はよく理解できます。ああ、なるほど、そういう打ち方をすればいいんんだなと。
しかし、週末テニスプレイヤーである私には、理解したことをしっかりに身につけるための練習が不足しているのです。
すぐにゲームをやりたがる。すると、基本が身についていないから、またミスを連発する。

スポーツでは、理解しただけではダメです。理解したとおりに自分の体が動かなければなりません。ボレーの打ち方の理屈を知っていても、試合のときに正しく体が動かなければミスをします。
体が正しく動くようにするためには、トレーニングが必要です。おそらく、何千回も、何万回もの練習が必要なのです。プロ野球のピッチャーは、ただ球を投げるということ一つのために、子どもの頃から何年間も、毎日、練習を続けてきているわけです。
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「大切なのは基本をしっかり作ること。難しい技を小さな時から習得する必要はない」
今回アテネで金メダルに輝いた体操男子の選手をジュニア時代に育てた城間晃さんの言葉です。

「小細工を覚える必要はない。正攻法できちんと組め」
柔道の野村忠宏選手のお父さんの言葉です。

「あせらず、あわてず、あきらめず」
競泳自由形で女子初の金メダルに輝いた柴田亜衣選手のコーチの言葉です。
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私は、スポーツの達人たちに、中国語学習のヒントを教えてもらった気がします。

中国語の学習も、理解しただけではダメです。
中国語教科書の本文を読んで理解できるようになる。そして、2冊目の教科書、あるいは原書も読んでわかるようになった。先生に与えられた中国語の新聞記事を、辞書を引きながらでも、一応読めた。すばらしい進歩です。
しかし、と私は思います。読めた中国語を、あなたは使えますか?
「読んだ中国語を使える」かどうかは、簡単なテストをしてみるとすぐにわかります。

読んだ内容を、中国語で人に説明できるかどうか、やってみればいいのです。読めるようになっただけでは、こういうことはできません。できなければ、読んだ中国語が身についていないのです。
つまり、読んだ内容が、中国語で頭に定着していないのです。定着していれば、読んだ内容を頭の中から取り出して、そっくりそのまま再現できます。粗筋だけを要約して説明することもできます。あるいは読んだ内容について、反対意見を述べることさえ可能です。
これが使える中国語習得の第一歩なのです。

どうすれば、そういうことができるようになるのか。
簡単です。理解した中国語の文章を、あるいは会話を、何度も何度も読むことによって覚えこむのです。音読するのです。暗誦できるようになるまで。
ともかく、入門、初級、中級のある段階までは、読んだ中国語をことごとく暗誦することです。
時間がかかります。しかし、その効果は計り知れないほど大きいのです。

暗誦できるまで読み続けること、これが中国語習得の基本的なトレーニングです。

先を急いで、次々に新しい教材に取り掛かるのは、学習が進んでいるように見えますが、実は身についていないことが多い。
「大切なのは基本をしっかり作ること。難しい技を小さな時から習得する必要はない」のです。

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達人に学ぶ中国語学習法①覚えること

『私の中国語学習法-留学前を中心に-』
名古屋学院大学教授 樋口勇夫

これは名古屋学院大学付属図書館のホームページに掲載されていました。「中国語学習法」というキーワードで出てきたものを片っ端からのぞいていたときに見つけました。
原文を読みたい方はアクセスしてみてください。
http://www.ngu.ac.jp/white/Libra/kanpo102-07.html

ここでは、樋口先生の勧めている学習法のポイントを整理して紹介します。

★各課の構成が単語・文法事項・本文などから成る、いわゆる「教科書」で学ぶ段階

(1)発音を体に覚えこませる
手でピンインを書き、それを目で見、口で発音し、耳でその音をモニターする、というように、体の様々な感覚をフル活用し、何度も練習して筋肉感覚で体に覚え込ませる。
特に、発音している時、唇の形・舌の位置・開口度・時間の推移に沿って変化する音の高低(声調)の感覚を意識する。

(2)教科書の本文をそのまま覚える
単語のレベルでも文のレベルでも、「3本のライン」-①ピンイン②簡体字の漢字③日本語訳-を1セットにして覚える。
「3本」のうち、どの1本だけを与えられても、残り2本をパッと反射的に答えられるまで、何度も書いて練習する。
この段階では、教科書の本文のような短めの基本文をそのまま覚えて、ある程度数、頭の中に溜める必要がある。

★小説など、中国人大衆向けに書かれた文章の読解によって学ぶ段階

(1)語彙力が勝負
発音と基本的文法事項を一通りマスターしたら、後はハッキリ言って、語彙力勝負。
知らない単語は選り好みせず、片っ端から全部覚える。
語彙を増やすには、原文の講読が最も効率が良い。
 
(2)辞書なしで大体読めるレベルを目指す
中国語に限らず、その外国語で生活している人達が日常読む原文を、①「辞書を引き引き苦労して訳すレベル」から、②「辞書なしでも大方訳せるレベル」になって初めて、少なくとも「読み」に関してはその外国語を習得できた、と言えよう。

(3)5,000語覚えたら大体読める
講読の授業やラジオ講座が終わったら、知らなかった単語について、まず、辞書のその単語の、漢字・ピンイン・文中での訳語、に赤線を引き、辞書にその訳語や単語自体がない場合は、赤で書き込んでしまう。
次に、単語カードの表に漢字、裏にピンインと意味を書き、表→裏(漢→ピ・意)、裏→表(ピ→漢、意→漢)、が正確にできるようになるまで練習し、終わったらピンインのアルファベット順に並べて溜めていく。私の場合、この「辞書の赤線引き」と「カード作り」を5,000語やった頃、②のレベルに到達していた。

★ラジオ講座について

ラジオ講座は、お金がかからず、信頼でき、毎日必ず勉強するペースメーカーとなり、有効である。
自分のレベルが上がっても、ゲストが読むすぐ後について何も見ずに言うなど、目標はいくらでも調節可能。

★話す能力を向上させるために

(1)まず、書く練習
中国語を「話す」には、頭の中で文を瞬時に組み立てて言わなければならないが、「話す」練習をする前に、文字の上でゆっくり考えながら、まず「書く」練習をすると良い。
いきなり長い日本語の文章を中国語訳するのは難しいので、まず1行ぐらいの短い日文を、ある程度数、中訳する段階があると望ましい。

(2)書いたら中国人にみてもらう
中作文テキストの日文を中訳して日本語の上手い中国人に見て貰う。
日中辞典を引き、各部分について、こうも言えだろう、こうは多分言えないだろう、など色んな可能性をとりあえず全て書いておく。
授業のとき、あるいは中国人に見てもらうときには、模範解答例以外に、各部分が他の言い方と入れ替え可能かどうか確認する。
ここで養った、中国語の文を組み立てる力は、後に中国へ留学して中国語を話す際、大いに役立った。

(3)中国人の友人に手紙を書くのもいい
中国人の友人に中国語でちょくちょく手紙を書けば、どんどん書き慣れていく。なお、何度も推敲するにはワープロの画面が有効。

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要点を紹介するつもりが、ほとんど原文に近い引用になってしまいました。盗用になるのかしら?

樋口先生の文を読んだとき、「教科書の暗記」「単語の暗記」というアドバイスに、妙に納得、共感したことを覚えています。中国語を学ぶのに近道はない、こつこつ暗記に励まなければならないんだ、と覚悟を決めるきっかけにもなりました。

「中国人に手紙を書くのもいい」というアドバイスも、自分で表現する練習として、効果的だと思います。
私は、E-mailを使っています。今日は暑いね、とか、夕べ飲みすぎた、とか、つまらないことを書いては友人に送信しています。友人は大学院生で勉強とアルバイトに忙しい身ですから、ほとんど近況を報告する簡単な返信があるだけですが、時折、私の文の間違いを修正して送り返してくれます。

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